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051 菜乃花の進む道

last update Terakhir Diperbarui: 2025-07-04 17:00:18

 8月31日の夜。

 直希とつぐみ、そして菜乃花が食堂に集まっていた。

 明日から9月。

 菜乃花の新学期に向けて、これからの仕事の割り振りを決める為のミーティングだった。

「菜乃花ちゃんにとっては、高校生活最後の二学期。体育祭に文化祭と行事もあって、何より卒業後の進路を決める大切な時期だ。

 あおい荘で働いてくれて、正直すごく助かってる。特にこの前、俺が倒れた時には本当、迷惑をかけてしまって」

「そうね。そのことに関しては本当、菜乃花に感謝し続けて頂戴よ。勿論、私やあおいにもね」

「分かってるって。あんまりいじめるなよ」

「あ、でもその……直希さん、元気になられて、本当によかったです」

「ありがとう。菜乃花ちゃんは優しいね」

「あ、いえ……そんなこと……」

「優しくなくて悪かったわね」

「いやいや、その突っ込みは来ると思ってたけど、そういう意味じゃないから」

「分かってるわよ、ふふっ」

「菜乃花ちゃんにとってこれからの数年は、人生で一番大切な時期になる。仕事を手伝ってくれるのは本当に嬉しい。でも今はそれ以上に、これから自分がどうしていきたいのかを、しっかり考える時間を持ってほしいんだ」

「はい。ありがとうございます」

「菜乃花は将来の夢とか、あるのかしら」

「夢……ですか」

「ええ。大学に進学するのか、働こうと思ってるのか。専門学校という道もあるわね」

「私は、その……頭もよくないし、無理して大学に行っても仕方ないかなって思ってます」

「そうなの? 今からでも頑張ったら、まだまだ間に合うと思うけど。それに、大学は勉強だけじゃない。友達も出来ると思うし、新しい発見や出会いもあると思うわよ」

「でも私、友達を作るのも苦手だし……大学に行っても、その……今より多くの人たち

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